ブログ 私のひとり言
注文住宅を設計する!設計事務所の役割
建築士が伝えたい事
これから家づくりを考えている方に向けて、私の30年の建築士としての家づくりに対する思いや、失敗談、発見、建築士だから見えた事など包み隠さず披露する事で、このブログを見ている方が何かの参考になって、トラブルを回避したり、新しいアイディアを発見できるとしたら、建築士冥利に尽きると思い書いてみました。
自己紹介
建築士30年とは建築士事務所として独立後の年数です。開業当初は、バブル経済の後半でしたので、まだ仕事量は多く絶える事はありませんでした。
仕事の依頼は住宅(木造、鉄骨造)、共同住宅(コンクリート造、鉄骨造)、宗教施設(コンクリート造)、店舗(飲食店など)、事務所(木造、鉄骨造)などを手掛けてきました。
当時の仕事は、お客様からの直接の依頼もありましたが、建築業者からの依頼が大半を占めていました。
現在は、注文住宅の設計監理が主流です。私の設計スタイルは分離発注による設計マネージメントです。
工務店は存在しません。建築主、建築士、業者が完成まで協力し合い、三者の垣根を外して進めていく作業ですが、15年もの経験を積んできました。
メリット、デメリットは、今度このブログで話をします。
建築士とは
これから話を進めていくうえで、まず建築士とは何か。から説明します。
設計士とも呼ばれますが、基本的に「士」がつく以上、設計士も建築士も同じと考えます。ただ、よく似た言葉で「建築家」があります。建築家とは、国の資格ではありません。
簡単に言えば広く国内、または世界に向けて有名になった建築士の事を建築家と呼んでいるように思います。有名どころでは、最近は、隈研吾、安藤忠雄・・他多数。
ウィキペディアでは、建築家のことを「一般的に建築における建物の設計や工事の監理などを職業とする専門家」と称しています。その通りです。
従って、日本国内においては設計士、建築士、建築家は同じ意味なのです。紛らわしいのでこのブログでは「建築士」とします。
建築士の現状
建築士には、国家資格で1級建築士、2級建築士、木造建築士に分けられます。
但し、住宅設計の世界では建築士の姿はあまり見る事がありません。それはなぜか・・・
建築を建てる時には、必ず確認申請という許可を取得しないと建てる事はできません。ハウスメーカーでも、工務店でもです。
現在、ハウスメーカーや工務店で相談されている方は、建築士が毎回相談に立ち会う事は少ないと思います。なぜなら、建築士は下請けか、所属する建築士だからです。
住宅においては、なぜ建築士が表には出てこないのか。
建築士はその会社に一人いればいいのですが、その建築士がすべてのお客様の相手をできない事もあります。
そして、住宅のプランは平面的には誰でもできるという考えから、お客様の相手は営業マンが対応し、その営業マンが設計をする仕組みになっているからです。
現場の管理もそうです。
そのため建築士は、お客様とほとんど会う事がなく、建築士と会うときは法律上の相談に伴う間取りの打ち合わせぐらいです。
もちろん、個人または法人として独自の住宅設計を売りにしている建築士も多く存在します。
私もその一人ですが、事務所開設初期は下請けの時代もありました。
建築士は建築主の味方
誰に建築相談するかのお客様のアンケートでは、建築士は敷居が高い、建築士の思いが強すぎて、客の話をまともに聞かない、とあります。先入観あるいはドラマの影響ですね。
わたしから言わせれば、そのような人は、一部の先生きどりの建築士か、建築家だとはっきり言わせてもらいます。
私の知る限りの建築士は、お客様の事を考え、精一杯知恵を絞ります。
建築士のエゴはありません。エゴではないのですが、お客様には現状よりワンランク上の提案をします。
工事が始まるとお客様に変わって業者と交渉し、現場の仕事に間違いがないかを確認します。
もし不手際があれば、やり直しを指示することも有ります。
しかし、お客様の要望が、専門家として法律を犯すことや、施工に支障をきたすときなどは、毅然とした態度をとります。もしかしたら、その態度がとっつきにくいと思われるかもしれません。
真面目なんで・・・
住宅設計での建築士の関わり
本来、建築士はお客様に代わって、施工会社の仕事に間違いがないか、設計図書通りにできているかを監理する事が仕事です。
建築士法という法律があり、そこに建築士の仕事と立ち位置が書いています。
しかし、やむを得ない事情で下請けになり、お客様を守る側ではなく、ハウスメーカーや工務店の側に立つことになり、施工上の間違いなどを指摘することができなくなるのです。
実は、ハウスメーカーや工務店などにプランを提供している多くの設計プランは、建築士であり、許認可業務も建築士の重要な仕事です。
住宅設計において、建築士が、家づくりにおいて大きく関わっていることをご理解いただけましたでしょうか。